Yoshida-Noh Stage
吉田能舞台とは

 1986年11月、能楽と地域の文化振興を目的に、開業医であり能楽愛好者でもあった故吉田祐彦が鹿島市大字中村の旧吉田病院の横に、私財を投じて建設したのが吉田能舞台です。

 当時、私設としては珍しい本格的な能舞台でした。総檜、京間三間四方の舞台、天井には「道成寺」の大金を吊るす金具、床下には大亀12個が吊るされ、これらが足拍子の音響効果を高める役割を果たしています。
橋掛かりから揚幕の奥には鏡の間があり、二階には二つの更衣室も完備しており、見所は二段に別れ全体で五十五畳の畳敷となっています。
舞台の特徴でもある鏡板の「老松の絵」は、鹿島市出身、元佐賀大学教授であった岩永京吉先生の制作によるものです。

 故吉田祐彦は妻ミヤ共々、長年の能楽愛好者であり、観世流能楽師 平野千賀、元章氏に教えを受け、「鹿島でも本格的な能を見る為には~」と能舞台の建設を思い立ちました。
建設前に故吉田ミヤと設計者は全国七か所の能舞台を見学して回ったとの事です。

 完成後、37年に亘り、地元能楽愛好者のみならず、鹿島市文化祭の会場の一つとしても利用されております。

一般社団法人 吉田祐彦記念館 代表理事 西川眞理子

Establishment設立

吉田能舞台落成記念公演

吉田祐彦氏 猩々
吉田ミヤ氏 羽衣

設立当時の雑誌掲載記事

総ひのき造り、本格的な「吉田能舞台」
地域の文化振興へ、多目的に活用

中島ヤエ作、佐賀錦の雛人形

吉田ミヤの妹・中島ヤエにより能舞台のために20年歳月をかけて手作りした雛人形です。人形が纏っている衣は一枚ずつ絹糸から織られたものを裁断したものを木目込み作られました。「手作りの佐賀錦の衣を着た雛人形七段飾り」は毎年2月中旬から4月上旬まで一般公開しております。

宝生流 能楽師 佐野登先生

定期的に先生にお越しいただき、ワークショップ(体験型の講座)を開いています。

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能楽師シテ方(宝生流)
佐野登

宝生流18代宗家宝生英雄に師事。「翁」「道成寺」「乱」を披く。重要無形文化財総合指定(能楽)保持者東京藝術大学卒。国内外での演能活動や謡曲・仕舞の指導。「芝宝会」主催。 学校教育や幼児教育における伝統文化伝承の授業の実施を中心に、次世代育成に向けた伝統文化伝承の体験型プログラムや教員、教育関係者への講演も数多く行う。 中島みゆき「夜会」出演等、現代に活きる能楽を目指し活動中。(一社)日本能楽謡隊協会代表理事。

Work Shopワークショップについて

ワークショップは体験型の講座です。

日本の伝統芸能について知ってみませんか?能はストーリーや、舞、音楽などから、さまざまなイメージが浮かぶので、見る人によって感じ方が変わってくるのも能の魅力のひとつです。


毎月一回能楽ワークショップと合わせて肥前鹿島謳隊(能楽謡隊)を実施。吉田能舞台での猩々のお披露目を目指しています。日本文化に触れてみたい方。初心者も大歓迎です。
(画像は練習風景)

能とは

一言で言えば「面と美しい装束を用い、専用の能舞台で上演される歌舞劇」ストーリーのあるオペラやミュージカルに近い存在です。

肥前鹿島謡隊

能の声楽部分が「謡」です。登場人物によって謡われるものと地謡(じうたい:コーラス)によって謡われるものがあります。ぜひ日本の素敵な文化である能楽や謡曲に触れてみませんか?
初めての方も大歓迎です!
年に一回、舞台でのお披露目を行っています。
(画像は2023年3月の本番風景)

能楽事始めワークショップのうがくことはじめワークショップ

事始め=「新しく事を始める事」もちろん、初心者大歓迎です。能とはどういうものなのか、宝生流能楽師シテ方佐野登先生をはじめとするプロの手ほどきを受ける体験型研修の場です。貴重なお話やお謡いや舞を間近に体験できる貴重な機会です。もちろんお謡いに参加することも、聞くだけでもOKです。まずは足を運んでみてください。

参考としまして、過去には下記のプログラムで「ワークショップ」が行われております。
講師:宝生流能楽師シテ方 佐野登

1.伝統小話「能の演目から」
2.能楽謡隊<声に出す能「羽衣」「猩々」>
3.「装束」(面)から見る能<当日の演目から>
4.仕舞い<当日の演目から>

過去のワークショップの様子かこのワークショップのようす

202204

2022年4月「猩々」

202206

2022年6月「胡蝶」

202207

2022年7月「氷室」

202209

2022年9月「菊慈童」

202210

2022年10月「紅葉狩」

202211

2022年11月「松風」


その他過去のイベントの様子はこちら

肥前鹿島謡隊ひぜんかしまうたいたい

鹿島市は佐賀県の西南部に位置し、東には有明海、西は多良岳の山々に囲まれた自然豊かな町。佐賀藩の支藩である鹿島藩の地で、鍋島家にゆかりのあるお土地柄。年間3百万人の参拝客が訪れる日本三大稲荷のひとつ「祐徳稲荷神社」や県下有数の酒どころでもあり、 毎年3月に市内6蔵が同時に蔵開きを行う「鹿島酒蔵ツーリズム®」では、県内外から多くの人が美味しいお酒を堪能しに訪れます。

鹿島市にある吉田能舞台では、多良岳山系から流れる豊富な水がもたらす恵みの文化的シンボル「酒」をテーマとして、ご当地ソングに「猩々」をセレクト。猩々の伝える赤心(まごころ)を軸に人と人をつなぎ、鹿島の伝統文化を未来につなげていきます。 毎月一回能楽ワークショップと合わせて肥前鹿島謳隊(能楽謡隊)を実施。吉田能舞台での猩々のお披露目を目指しています。日本文化に触れてみたい方。初心者も大歓迎です。

日本能楽謡隊協会の紹介文より一部引用》

佐野登先生との出会いさののぼるせんせいとのであい

先生と私の出会いは2021年。前年に先生が吉田能舞台を訪問して下さった時は、私は残念ながらお会いする事ができず。叔父と叔母が「あの~サムさんを教えておられる先生だって~」と興奮して話すが、私にとっては「サムさん??」だった。 後ほど佐野先生が、あの有名な「SAM」さんの師である事が判明した。佐野先生は、祖父、叔父様と三代に亘っての鹿島での宝生流能楽指導者だった。

当時、私にとっては両親から引き継いだ能舞台をどう活用していくかが大問題。鹿島での謡曲人口も減少の一途、両親の時代には観世流能楽師平野先生親子が三十年に亘って指導され能舞台もそれなりに活用できていたが、もう高齢の平野先生の指導の手を離れていた。

何か新しい能楽振興の手立てを~と思っていた所に、佐野先生の「吉田能舞台訪問記」をFacebookで読ませて頂き、先生に舞台顧問になっていただき今後の新しい活動についてのご指導を頂こうと思った。また先生が主催しておられる「日本能楽謡隊協会」の活動を見て「各地に根づく謡隊活動」に興味を持った。

日本中、世界中が新型コロナ禍で文化活動が制限されている中、2022年初め、とにかく何らかの形で新活動を開始したいとの思いが募り、3月から初心者に向けて能楽を「体験」しながら知って貰う「体験型 能楽事始めワークショップ」第一回を開催する事になった。

そしてワークショップ参加者の中から「肥前鹿島謡隊」を結成し、2023年3月には地謡隊として19名が初めて舞台に上がる事になった。プロの能楽師、地元の謡曲の会の方々の協力を貰い無事、舞台を務めた。皆、思いがけない貴重な体験を経て、更に能楽を知り体験する事に喜びを感じる様になっている。

毎月、先生のスーパーパワーで謡隊活動、毎回、初心者を迎えてのワークショップ継続で両親の時代とは違った形で、能舞台が再度、輝きを取り戻している。

あの時の佐野先生との出会いに、本当に感謝です。

西川眞理子

Equipment設備

看板

看板

道路に面しています看板が目印です。

駐車場

駐車場

道路に面した入り口前には10台分ほどの駐車スペースを設けていますので、お車でお越しの際はご利用ください。

玄関

吉田祐彦記念館玄関口

イベント開催日以外はインターフォンでお呼び出し下さい。

吉田祐彦記念館資料室

吉田夫妻と能のふれあいの歴史や鹿島市の文化振興に関わる資料が常設されています。

吉田能舞台

吉田祐彦記念館の入口の向こうには能舞台の神聖な空間が広がっています。

畳五十五畳の見所

約150名収容可能(55畳)な広さです。公演の際は椅子もご利用いただけます。

舞台天井と老松の絵

舞台天井と老松の絵

揚幕

揚幕

鏡の間

揚幕の奥の鏡の間

床下の大亀

床下の大甕

能舞台の床下には共鳴装置として「大きな甕(かめ)」があります。これによって能楽堂全体に音が反響し、能をより楽しむことが出来ます。

更衣室1

2階更衣室(8畳)

更衣室2

2階更衣室(8畳)

ギャラリーA

ギャラリーB

階段昇降機

二階ギャラリーへは昇降機をお使いいただけます。